こんにちは、レガデンタルクリニック院長の仲山です。

今回は最も患者様によくお話しさせて頂く「かぶせ物」について、その選び方についてご案内させて頂きます。

  • どのような歯にはどんな素材が良いのか?違いは?
  • 安い素材と高い素材は本当に違いがあるのか?実際の経年変化は?
  • 健康保険の限界は?
  • トンカチで叩いてみて分かる素材毎の強さと、それだけではなく気をつけるべき化学的な強さとは?

そして、そもそも入れた後に再発する可能性をきちんと潰すことが大切です。

いわゆる「2次う蝕」です。 銀歯が沁みるようになってきた方は、銀歯のつなぎ目に沿って虫歯ができていることが多いです。

そもそも口の中のプラークコントロールをしっかりしないと、結局辛い再治療になります。

そのあたりについてもお伝えしています。

書き起こしはこちら

みなさんこんにちは。

今回は「知らないと損をする歯の被せ物の選び方について」というタイトルでお話をさせていただきます。

皆さんは歯医者さんに行って「虫歯がありますよ」と言われたときに、ダメになったところを削られたあとに、黙って銀歯を入れられてしまったという経験がありませんでしょうか。

いろいろな直し方が、実はあるんですね。

それぞれの特徴について、今回の動画を見ていただいて、皆さんご自身で何を選択すれば一番最適なのかなということを考える、一つのきっかけになって頂ければと思い投稿させていただきました。

虫歯といっても、大きさも場所もさまざまです。治し方がそれによって違ってくるんですね。

たとえば、これを見ていただくと、前歯ですね。黒くなってきたのでちょっと心配になったよ、ということで来院された患者さんの前歯です。確かに黒くなってますよね。

これは虫歯を削り取って、「コンポジットレジン」という、その場で光で固まる樹脂をつけて詰めておしまいということになります。

虫歯の中では、一番小さな単位の虫歯治療と言えると思います。

これは、奥歯です。検診で「黒くなってますね」ということで、自覚症状は無かったのですが、黒くなっている。すごく小さい、いわゆるエナメル質という一番表面のところに存在しているう蝕、虫歯です。

これもやっぱりコンポジットレジンという樹脂を詰めて、それでおしまいとなります。

これくらいだったらいいんですけど、奥歯のもっと大きな虫歯、前歯でも直さなきゃいけない面積が広い虫歯の場合は、ずっと詰め物だけでするわけにはいかない。なので、どうやってやるんだということになります。

そういう場合は、虫歯と一緒に歯を削って形を整えて、削った後に型をとって、歯科技工士さんが作ったものを、後日また来ていただいてセメントで付けて修復する。

そういう別の方法になります。つまりその場では終わらないんですね。

こういった歯の修復物を「補綴物(ほてつぶつ)」と言います

歯の修復物のことを、私たちは「補綴物」と言います。ちょっと難しい言い方ですけど「補綴物」です。

具体的な例でちょっとお見せしますと、下の方の前歯、すでに歯茎との境目の歯頚部(しけいぶ)というところに、過去にコンポジットレジンの詰め物がされています。だいぶご高齢の方でいらっしゃる。なので、前歯の先端の部分も欠けてきています。

こういう場合、その先端部分にまたコンポジットレジンの詰め物をしても、力負けしてまた欠けちゃうんですね。そういう時にはどうするかというと、こういう被せ物に移行する。そんな感じのイメージです。

補綴物はだいたい大きく2つに分けられます。インレータイプとクラウンタイプと呼んでいます。

例えばインレータイプは、この写真のように中に掘り込まれたはめ込むタイプの修復物です。神経のまだある歯で、奥歯が主な対象です。噛み合わせる部分が大きく崩壊していない虫歯の場合に適用されます。

当然、素材をどうするかという話になってくるんですが、銀歯、金歯あるいはセラミック、ジルコニア、ハイブリッドタイプのものとか、要するに素材が違えば色も違いますし種類も性格も違うわけです。当然値段も違ってきます。

これはレントゲンですが、虫歯が歯と歯の間にあります。やっぱり結構染みるということで来院された方ですね。虫歯が歯と歯の間なんで、上からは見えなかったんですが、やっぱり虫歯だということで削っていくわけです。

麻酔をして削っていくと、歯と歯の間に虫歯が出てくる。そして最終的に削り取られます。ここで型を取るんですね。型を取って、どういうものにするかを決めた後に、セットされるものが入っておしまいということになります。

とにかく健康保険でとなると銀歯になりがち

最初から何も言わないで、とにかく健康保険の範囲だけで入れてしまうとなると、黙って銀歯になってしまいます。

昔不思議に思ったのですが、子供の頃やっぱり虫歯ができて歯医者さんに行って「虫歯ですね」と言われて、治すのに、削られて、型を取って、入れられて終わった後に、見てびっくりしたんですね。歯と同じ色のものが当然入ると思っていたら、銀歯が入ってると。

今はもう、わかっている方は、健康保険では銀歯のインレーだっていうのはわかってるんですけど、何も知らないひとにとっては、なんで歯と同じ色にならないのか、素朴な質問ですね。そういうふうになりますね。

要するにものの違いとか、あるいは保険がきくかきかないか、あるいは値段がどういうふうになってるかというのは、最初に知った上で、自分で選択してもらうということがとても重要です。

自分はどんな素材がいいのか、メリットデメリットはよく相談して、先生と決めていただくというのが筋です。今は世の中では、インフォームドコンセントという名前がだいぶ浸透してきたように、ものの説明が最初にどうしても必要になる場面がでてきます。

この辺は、この後にもう一回、クラウンという、もう少し大きな補綴物のことについてお話した後に説明させていただきます。

インレーの話に戻りますけど、虫歯は患者さんによっては、ちゃんと取ってほしいんですが、「自分の歯の虫歯になってないところは、なるべく先生削らないようにお願いしますね」ということを言われることがあります。「そんなに大きくないと思ってたのに、たくさん削られてしまったんですよ」という言い方をされるんですね。

なぜ、大きく削る必要があるケースがあるのか?

それって、虫歯の本当のその悪いとこだけを削り取って、形をそこの部分だけに入れると、力負けして長期的にそこからダメになってしまうというリスクが増えてきます。インレーの限界と言います。

実はこの事をご説明するのに、皆様に歯の形について、どうしてそういうことを言われるのかという話を、ちょっと聞いていただきたいのでご説明させていただきます。

上の歯と下の歯の大臼歯2本と小臼歯2本、あと前歯の糸切り歯から糸切り歯まで、今までそういうふうに人の歯はできあがっているんですが、下の歯が、上の歯にカチッと噛み込むような感じになります。そうすると下の歯のいっぱい使う面、そして上の歯のいっぱい使う面というのがおのずと出てきます。

ちょっとこれだと小さい。なので、もうちょっと大きな歯にして説明しますね。

こちらが下の歯、こちらが上の歯です。

ちょっと分かりやすいように、この縁の黄色くしているところがよく使う面です。いわゆる機能咬頭という言い方をしていますけれど、そこが、上の歯にガチっと噛んだ時、上の歯のよく使う面っていうのが違う方にあるんですね。

もう1回言いますと、下の歯はよく使うところが外側の山です。実は歯の山って山、谷、山、谷、で出来上がってるんですが、その外側の山が機能咬頭でよく使う下の歯です。

それで上の方っていうのは、その下の歯のが上にガチッと噛み込んだときに、内側から見るとわかりやすいんですが、要するに上の歯機能咬頭は内側の方の面が機能咬頭となっているんです。

要するによく使うところは、こういうふうに当たっているところが、今、点、点、点、点と出ていますが、点で当たっていますね。

ここで、ガリガリガリガリと、こういう風にして食事するわけです。包丁とまな板の関係のようになって、人はご飯を食べるわけですね。

本当によく使うところの部分につなぎ目があると、そこのところからトラブルが起きやすいです。

歯の形について知っていただいた上で、無理な形態のインレーが、どうしてダメになってしまうかというところをご覧にいただければと思います。

これは上の歯の1番奥、第二大臼歯のいわゆる口蓋咬頭が破折してこられた例です。

先ほどお話ししたように、機能咬頭、写真の黄色の枠で囲まれている部分が機能咬頭なんですけど、そこのところに、自分の歯といわゆる銀歯の境目が設定されていて、とってもいっぱい噛むところなんですね。この赤い印っていうのは、下の歯と上の歯を赤い紙で噛んでもらったときに、どこに強く当たっているかっていうのを示しています。

要するにこういう風になってくると、長期的には破折して、そこからまた虫歯が進んでしまう、そういう例なんですね。

これは別の例で、下の歯、第一大臼歯、前から数えて6番目の歯の外側の咬頭です。その部分が破折してしまったセラミックインレーを入れられた症例ですね。

これもやっぱり赤い紙を噛んでもらいますと、その機能咬頭と呼ばれるところ、黄色く囲まれている部分がそうなんですけど、そこのところにやっぱり、境目が設定されているんですね。

ここはとってもとってもよく使うところな。なので、ここのところに機能咬頭がある。なので、それを設定部分をつなぎ目があるように作られてしまいますと、こういうふうに長期的には破折してダメになってしまうんですね。

こういうときにはやっぱり、全部削ってクラウンタイプのものにしないと、長期的には安定しません。

そのために、自分のなんでもない部分の歯も削り込む必要が出てくるということなんです。

ある程度虫歯が大きくなった場合、機能咬頭をカバーして修復するクラウンタイプにしないと長期的に安定しにくいということがおわかりいただけると思います。

ですから、虫歯でない部分は確かに削りたくはないですし、健全な歯質はなるべく残そうという考え方は正しいんですけど、ある程度大きくなってしまった場合は、そういう考え方だけではちょっと難しいということがご理解いただけると思います。

クラウンタイプとは?

クラウンタイプのことを先ほどから言っていますが、クラウンというふうに呼んでいます。

だいたいはクラウンは、虫歯が大きく進んでしまって、歯が大きく崩壊してしまっている。なので、生きている歯だけでなく、神経取られるくらい大きく虫歯が進んでしまった方、両方

ともが対象です。

金銀パラジウム、プラチナゴールド、セラミック、ジルコニア、ハイブリッド、いろんなものがあります。

こんな形になりますね。クラウンの一般的な形です。そうすると素材が当然、どういう風なものが入るかということで問題になってきます。

銀歯っていうのが一般的にずっと昔からあるものとして有名ですけど、いわゆる健康保険が適用されているのが一番安いです。強度にはこれが一番強いですよね。どうしてかと言うとちょっとお示ししますので見て頂ければと思います。

銀歯、金歯、ジルコニア、セラミック、そして樹脂でできた歯、どれくらいの強度がある試してみたいと思います。

ここに金型、金敷がありますので叩いてみますね。

[銀歯をトンカチで叩く]

これは割れないですよね。金属ですから強いに決まっています。トンカチで叩いても割れない。強いです。

[ジルコニアをトンカチで叩く]

次にジルコニア、これも、叩いても割れないですね。ようは丈夫だと。

[セラミックをトンカチで叩く]

これはセラミックですね。砕け散りました。こんな感じですね。

[樹脂をトンカチで叩く]

これは樹脂でできたものです。案外頑張ってますよね。でもやっぱり先端というか縁端の部分は欠けてダメになっているというのがわかります。

多分こうやると真っ二つに割ると思いますけど、こういう感じですね。やっぱり樹脂も弱い、セラミックも弱い。

結局残ったのは、金属とジルコニアです。

まあそういうわけで、トンカチで叩いてみて割れないから十分かというと、そういう話じゃないというこなんです。

科学的な安定性も重視する必要がある

力学的に丈夫かっていうこと以外に、科学的な安定性も重視する必要があるということです。

どういうことかというと、金属の場合は確かに丈夫ではあるんですけど、酸に弱いです。酸に対して腐食してきます。銀歯がそうですが、プラークの中には虫歯菌がいるんですけど、その虫歯菌の出す酸が、長期的に慢性化してくるとそこが黒くなります。

だからお口の中の口腔内環境が、上手にプラークコントロールできない人の場合は、銀歯をいれると何年かしてそこからダメになって、もう1回やりなおしになっちゃう。そういう方がけっこういるんですね。

というか、そういう方がとても多いです。

具体的に見ていただきたいんですけど、これは銀歯で直された歯なんですが、非常にその歯と歯茎の境目にプラーク、白いのがそうなんですけど、溜まってるんですね。

これはちょっとプラークを除けてみますと、なんとこういうふうに黒い二次う蝕になって出てきたんですね。プラークがそういう周りについた状態がずっとあったがために、長期的にやっぱり2次う蝕になってしまった。この方の場合っていうのは、やっぱり銀歯が染みると言ってお越しになりました。

しょうがないから銀歯外してみると、そのつなぎ目に沿って汚れがついていたところに沿って、黒くなる、いわゆる酸化して2次う蝕が発生してもいるのが見てとれます。

これは、やはりこういうところをまた削り取られて、もう一回り大きく被せものをします。

より歯が削られるということになってしまうわけです。

そういうふうに、非常に、銀歯っていうのは金属イオンの影響でプラークが寄ってきやすい。そのままその汚れが慢性化すると、虫歯菌が産生する酸で、そこが酸化して黒変して、

再度う蝕になってしまうことがとても多いですね。

そのため、銀歯を入れた人は、つなぎ目のところをより丹念にブラッシングする、あるいはデンタルフロスを通すということをしていただく必要があるということでございます。

様々な素材の特徴

ゴールドの歯の特徴ということなんですが、銀歯と同じように金属ではあるんですが、何が決定的に違うかというと、鋳込み精度ですね。技工士さんが金属を溶かして、石膏模型上でそれを鋳込むわけなんですが、とても適合精度が高いので非常に重宝されているのです。

しかも金属ですから、強度が保てるので削る量が少ないというのは銀歯と同じなんですけども、銀歯と違って黒くならないという、大きなメリットがあります。

ただやはり金属ではあります。なので、金属アレルギーに反応する人は要注意です。というのは、24金ではないんですね。それだと柔らかすぎて臨床上使い物にならない。なので、だいたいプラチナなどで割ってます。

相当としては18金相当ぐらいで、金色はしてますけど、まあゴールド冠というのはそういうものです。

そういう意味ではその両元素が入っているという意味で、金のアレルギーは少ないかも

しれませんが、銀とかパラジウムとか、その微量元素の金属アレルギーに反応する方の場合は、やっぱりこれは使えないと思います。

やっぱりイオンの影響で、口腔内のプラークが非常に寄ってきやすいです。汚れやすい環境になるので汚れを溜めないようにしていただくという注意は必要だと思います。

また、当然健康保険が効かない。なので、高額になります。

次にセラミックなんですが、セラミックの特徴というのは、とっても透明感があり審美的に優れた素材です。もちろんそれが一番最大の特徴ではあるんですが、別の大きな特徴として、金属アレルギーがないんですね。

やっぱり削り込みの量が少ししかない状態で作られたものは、欠けたり割れたりしやすいです。金属よりも厚みを取るという意味で、金属よりも削り込む量が増える。そういう欠点があります。

科学的にはとても安定している。なので、黒くなったり黄ばんだりはしない。強度的には金属より弱い。なので、臼歯、奥歯にはあんまりお勧めしません。前歯に使われることが多いです。

次にジルコニアですね。昔はジルコニアという素材はなくて、ここ数年の間に躍進してきたいわゆる新素材だと思っていただいていいと思いますね。

歯と同じ白い色してるんですが、非常に耐久性が優れています。金属と同程度の硬さまであるものまで出てきています。

身体に対しては、生体親和性が高くて、表面の性状がとってもツルツルなのでプラークがつきにくいです。だからいつまでも清潔に維持できるという最大の特徴があります。

まあ当然保険がきかないので高額ではありますが、樹脂の被せ物のように黄ばんできたり、

長い間経って黄色くなってきたり変色したりすることもないということです。なので、これはとても硬いので奥歯に特に向いていますね。

ジルコニアの欠点っていうのは、保険が効かないというのは欠点なんですけど、それ以外に、セラミックよりちょっと透明感が足りないんですね。

です。なので、強度があるからジルコニアにしたいなーという方の場合は、ジルコニアの表面に一層セラミックを敷くというやり方で透明感を出す方法があります。

あるいは最近になって、少し透明感があるジルコニアも出てきました。それも多分、年々、色々と製品の改良が進むにつれて、もっと良いジルコニアが出てくると思います。

硬さ的にはやっぱり相当硬いということで、ほぼこのジルコニアが今後、歯科の材料の中では一番多く使われる材料になっていくのではないかなというふうに考えております。

セラミックを治す例を一つ見ていただきたいんですけど、こういうふうに削られた歯の上にオールセラミック冠っていうのをかぶせる時にこういうものを作るわけですね。

先端を見ていただくと分かると思いますが、とても透明感があります。

これは入れた後の状態の写真ですが、全然わかんないですよね。審美的に一番優れている。なので、こういうふうに前歯でとっても長期的に同じ色で経過させていく必要があるなっていう場合は、少々高くてもこれをオススメする方が多いですね。

ジルコニアは強度がある分、先ほどのセラミックよりも削り込み量はもう少し少なくて済むんですね。とても硬いやつですと、金属と同じ削り込み量でも十分なジルコニアも出てきています。

診療所によってお値段はいろいろですが、だいたい10万から15万くらいの費用になる場合が多いと思います。

あくまで健康保険のきくもので金属以外の歯はないのか、ジルコニアやセラミックっていうのは自費になってしまうのですが、奥歯も白い歯を入れたいという方が増えてきています。

CAD/CAM冠は健康保険で白い歯にできる

そういう方のために、CAD/CAM冠といって、金属ではなく固い樹脂を削り出して作るというやり方がでてきました。こういうふうに機械がレジンのブロックを削り出して作るものです。

ジルコニアやセラミックと違って、細かい形態付与がしにくいというのと、長期的に、樹脂です。なので、長期的には変色してくるんですね。臭いがついてきたりというのはどうしても否めないと思います。

これは新素材ではあります。なので、まだ出て来て10年経ってないと思います。です。なので、kン後、いくらこれは健康保険が利くからといっても、健康保険のいわゆる縛りというのが2

年間あります。なので、2年経ったらまた作り替えるという事が必要になる場面が出てくるかもしれません。

ただ目先、どうしても金属アレルギーが入っていて、銀歯はどうしても入れたくないという方はこれは良いと思います。

ただ全部の奥歯は、今はまだ健康保険では認められてなくて、順次拡大してますが、今の所の段階では、今、令和2年ですが、一番奥歯は入れられない状態。第二大臼歯までは無理になっています。

しかもこの奥歯の大臼歯に入れられる人の条件というのは、上と下の歯の奥歯がちゃんとそろっている方というのが、一応対象ということになってるようです。

あとは前歯の治療で、ジルコニアやセラミック以外に健康保険でどうやって治してるのかというと、金属をベースにして、それにレジンを貼り付けているっていうのが、いわゆるレジン前装冠といって、健康保険で作られているものではあるんですが、これもやっぱり金属をベースに作られているために、金属イオンの影響で、長期的にはキワのところが黒くなっていくんですね。

そういういわゆる差し歯と言われるようなものがあるんですが、これは黒くなったからダメになっちゃうわけじゃないんですけど、非常に見苦しいですよね。あとちょっと透明感にかけてたりします。

どうしても金属ベースで作られています。なので、そういう欠点があります。

これは、僕のところでずっと以前に入れられた方の例で見て頂ければと思うんですけど、

実は前歯全部、上の歯を4本直さないといけない。虫歯になってしまったのでかぶせなきゃいけないというふうになった時、ちょっと予算の関係で、前歯2本だけは高いのでセラミックを入れようということになって、横の側切歯という2本の歯は健康保険のレジン前装冠で入れようということになって入れたものの1年後の写真なんですね。

入れた当初はこんなに色の変化はなかったんですが、見ていただいて分かる通り、1年経つと黄ばんでいるっていうのが分かると思います。

下の歯が最初の自分の歯ですから、セラミックの方はまったく色が変わってないというのがわかると思うんですが、レジン前装冠という健康保険の、樹脂を金属に貼り付けたタイプのものっていうのはどうしてもこういうふうに色がついてきてしまうということであります。

被せ物を選択する際に難しいのは、本当にその人の価値観に依存しているという風に考えています。「まあどうせダメになっちゃうから、まあとにかく保険のきく範囲で安上がりに」最初からそういうふうに無関心な方もいらっしゃいますし、「いやいや、すごく金属アレルギーが心配だから、絶対金属は嫌です」という方もいらっしゃいます。

あるいは「とにかく口を開けたときに銀歯が見えるのが絶対イヤだから奥歯までとにかく金属でない、見た目も良くて、丈夫であってほしい」と、そのようにいろんな方がいます。

まとめて考えてみますと、いわゆる補綴物に対して、みなさんがこの5つ(丈夫さ、安さ、安全で長持ち、見た目が良い、噛み心地が良い)について、捉えていればいいわけですね。あるところに対してだけ反応する方もいらっしゃいますね。

全部兼ね備えて、しかも安ければ一番いいわけですが、全部叶えてくれる補綴物というのは、ないんです。残念ながら。

結局補綴物になってしまうと、いずれにせよ歯を削られてお金がかかる。なので、虫歯は絶対小さいほど簡単で安く済むっていうのをご理解いただきたいです。

一番最初にお見せしたコンポストレジン、詰めて済む範囲で終われば、健康保険でできますし、それが一番安上りです。

もし削って直して、型を取らなきゃいけないことになるぐらい大きな虫歯になった場合は、事前によく相談して決められると良いと思います。

黙って口を開けて、全部保険の範囲で、って言ってると、選択肢ひとつしかない。なので、選びようがないんですけども、自分の口の中の条件は何かを重視して入れていただきたいというふうに思います。

虫歯になった原因を知って対策しないと意味がない

3番目ですけど、なぜ虫歯になったか、その原因を理解していただきたい。そうしないと、また虫歯になっちゃう。虫歯はただ突然発生しないです。やっぱり歯周病と同じで虫歯っていうのは虫歯菌が存在して、初めてそこでできるものです。

細菌感染症で、人にうつすんです。

びっくりされるかもしれませんけど、歯周病と虫歯、両方とも最近感染症な。なので、口腔内の環境を改善しないとまた再発します。

だからもちろん高い素材はそれなりに有利な場合がありますけど、完全ではないです。どんなに高いものでも、自分の健康な歯には絶対勝てないです。

ちょっと変な話なんですけど、「高いの入れたからこれ一生持たないと嘘よね」って言われるんですが、もともと、被せものの状態にならなきゃいけないほど1度なった方が、語弊があるかもしれないですけど改心していただくぐらい高いものをいれても、また、もしかしてリスクは口腔内に残ったままかもしれない。高いから一生持つ、そう思いたくなる気持ちもよくわかるんですが、そうだけではないんです。

おわりに

以上で歯のかぶせ物についての私の話を終わります。

皆さんにとって何かのお役に立てれば幸いです。ご視聴いただきありがとうございました。

今後こういった歯科のいわゆる本音的な部分、現場で長くやっておりますと、必ずしもこれがいいとは言えないというような話もいっぱいあるんです。

今後もいろんな話を繋げていきます。なので、もしよろしければチャンネル登録していただけるとありがたいです。ご視聴頂きましてありがとうございました。