歯科医院に行っても誰も教えてくれない歯のクリーニングのことについての総まとめ

こちらの動画にまとめていますぜひご覧下さい

1.歯のクリーニングの効果はあるのか?

1.1.口腔ケア先進国で実証済み

北欧は口腔ケア先進国として知られています。そこでは、歯医者さんは基本的に痛くなってから行く場所という認識はないようです。

日本とは真逆ですよね。日本では痛くなる、違和感が出るなどの何らかの症状が出たら行く場所、とほとんどの方が考えているのではないでしょうか?

 

それでは北欧の人たちは歯科医院に行って実際に何をしてもらっているのか

それはみな口腔ケアをしてもらいに行く場所として国民的な理解が得られているのです。

口腔ケアをすることによって、歳をとっても歯を失う人の数が日本よりも圧倒的に少ないのが北欧、その理由で口腔ケア先進国と言われているのです。

歯を失う原因が歯周病とむし歯の2大疾患だということは皆さんもご存知の通り。

歯周病は歯周病菌、虫歯は虫歯菌で起こるいわゆる細菌感染症なのです。

感染症な。なので、なんと新型コロナと同じ、人にうつす病気ということになります。但しコロナのように死に至る病ではありませんが。

虫歯の場合、痛くなり、穴があいて気になる。なので、ほとんどの人は気づいて治療に行きます。それに対して、歯周病の場合は沈黙の病と言われるように、病気が進んでしまっても、なかなか本格的な症状となってその人が気付くまでの間には、かなりの時間があるのです。

そのために、症状が進んでなんかおかしいな、と思った時にはすでに歯周病が結構進んでしまっている状態だったという方がかなり多いのです。

過去当院に来られた1万人以上の方は、多くは皆そういった方ばかりでした。

(悪くなったら来る場所が診療所だから当然のことなのかもしれませんが)

何でもないのに歯科医院に行って調べてもらう…いわゆる歯科健診は学校の集団検診の時には必ずありましたよね。でも社会人になってしまうと、大学生以降はほとんどがそういった機会は自発的にお金を払って人間ドックみたいに歯科ドックのようにして行かない限りはなかなかないのが現実でしょう。

最近は、会社によって企業健診を義務付けてくれているところも大分出てきましたが中小企業などではまだまだ浸透しているレベルとは言えないのが状態のようです。

こうした日本の現状において、やはり健診が必要だということで、地方自治体も無料検診制度をガン健診とともに成人歯科健診と称してやってくれるところが多くなりました。

なので、無料ですし、これは受けないと絶対に損ですので受けた方がいいでしょう。

皆さんが毎日歯ブラシをしているにもかかわらず、歯周病が知らないうちにすすんでしまう原因は何でしょうか?歯ブラシだけではとるべきバイオフィルムと呼ばれる歯周病菌の細菌の被膜が60%しか取れていないというデータが証明しています。

 

勿論しっかりと磨けているから自分は大丈夫だと豪語している方、あるいは、電動歯ブラシを使っているから平気だと言われる方、結構要注意です。

私が、過去30年間、診療所で患者さんを診てきて共通した現象の一つに、口の中全体のレントゲンを撮られて支えられている歯肉の下の骨が減っているのを知った後でも、まだきょとんとしている方がとても多いのです。

それもそのはず、症状を自覚していないのに、あなたは歯周病ですよ、と言われてもそんなこと知らなかったし…となるのは当然かもしれません。

厚労省のWebページからの引用となりますが、歯周病の進んでしまう原因は、プラークと言われるものです。

プラークの正体
プラークの正体(厚労省のWebページより)

 

ではこのプラークが100%しっかりと自分の手で落とせていればいいのですが、実際にプラークの除去とは 歯ブラシだけでは60%しか取れていないという研究結果があります。それではのこり40%はどうすればよいのか。デンタルフロス、舌ブラシ、歯間ブラシ、そして殺菌作用の成分の入ったマウスウォッシュなどいろいろと使って、100%に近づけようとする必要があります。

バイオフィルムの特徴
バイオフィルムの特徴(厚労省のWebページより)

 

汚れが残された状態のまま歳を重ねていくにつれて、歯周病がついに発症してしまうステージに進んでしまうというシナリオが、現状ではあまりにも多いのです

です。なので、人の手で残っているバイオフィルムを定期的に取ってもらう歯のクリーニングはどなたにも必須で重要な作業の一つと言えるわけです。

 

ワニが口を開けているとそこにワニ鳥がやってきて、歯についた残りカスを食べてくれるという映像を見たことがあります。ワニにとっても汚れを取ってくれるのがわかっているようで、ワニ鳥が口にいる間はガブリとせずにじっと口を大きく開けたままでいい子にしているのですが、とてもほほえましい光景です。

少し乱暴なたとえかもしれませんが、そのワニ鳥に相当するのが、皆さんのクリーニングをしてくれる歯科衛生士さんなのかもしれません。但し、無料ではありませんが。

 

1.2.どんな人に特に必要か

歯のクリーニングは言ってみれば、全世代の人に有効かつ必要なものです。

但し、特に、妊婦さん、忙しいサラリーマン、更年期障害の出やすい女性、免疫力の落ちてきている高齢者、などがあげられます。

妊婦さんに関しては、女性ホルモンバランスの影響で、歯周病菌が好む口腔内環境になりやすい点が指摘されています。妊娠性歯周炎と呼ばれる一過性のものにかかってしまう場合も多くみられるために、つわりなどが苦にならないレベルであるなら、積極的に歯科医院でクリーニングをしてもらうのは大切です。妊婦さんが歯周病であると、出産時に早産の原因となるというエビデンスも報告されています。

サラリーマンなどは、忙しいために、なかなか歯周病のサインに気づきにくい方も多いようです。コロナの影響で外食が減った分、以前のように夜遅く帰ってきてそのまま寝てしまう方は減ってきたとは思いますが、生活習慣の乱れが多い忙しい方の場合、歯周病になるリスクが増えて問題となるケースが多いからです。

また、口臭があってもそれに気づかない方の場合、現在マスク着用のためにそれほど他人にわかりづらくなったとはいへ、かなりイメージダウンになります。

現在新型コロナウイルスにより肺炎が蔓延していますが、ご高齢の方にとっては、口腔内の汚れからくる誤嚥性肺炎も以前からの大きな問題です。口腔内のプラークの一部を嚥下機能の低下した高齢者が誤って誤嚥した場合、肺炎になってしまうというものです。

過去、老人施設での研究で口腔ケアをしたグループと、そうでないグループとに分けて肺炎になる人の数を比較した長年の研究結果がありますが、その肺炎の罹患率の違いは明らかだったという報告があります。

また、誤嚥性肺炎の80%が口腔内の歯周病菌から起因しているという報告もあります。定期的な高齢者の口腔ケアは肺炎予防に欠かせないものと言えます。

また、上気道に留まって増殖するコロナウイルスの温床になりにくくさせる意味でも、清潔な口腔内を絶えず維持させるクリーニングは、コロナの肺炎予防としては一定の予防効果があるとされています。

 

2.歯のホワイトニングとは違います

クリーニングをすると歯は白くなりますか?というご質問をいただきますが、クリーニングで歯の黄ばみはとれません。

下の写真で左側はクリーニングのイメージ右側がホワイトニングのイメージです。

 

予防クリーニングで着色、ステイン、ヤニを除去してくれます。なので、そういった意味ではクリーニング後は、きれいになりさっぱりとはしますが、元の歯の色以上には白くならないのがクリーニングです。

ホワイトニングは基本的には過酸化水素の薬剤を主に使って歯を漂泊して白くするものです。加齢変化で黄ばんできて年寄り臭く汚く見える歯を若い頃の白い歯に戻すといったアンディエイジング効果が大きいと言えます。ホワイトニングについては別の章でご説明します。

ホームホワイトニング
型どりしたトレーにホワイトニング剤を入れて1~2時間装着して歯を白くする

 

歯のオフィスホワイトニングしているところ
ホワイトニング剤をつけて光を当てて歯を白くしているオフィスホワイトニング

 

3.歯のクリーニングに健康保険は使えるのか?

これは電話口でとても多くいただくご質問のうちの一つです。

きっとこの記事をご覧になっている皆さんも、多くの方が本当に正しい答えを知らないと思います。

というのも、「使える人もいるし使えない人もいる???」というのが正解だからです。

このことを簡単にご理解いただくためには、制度の違いからご説明する必要があります。

3.1.治療としての健康保険クリーニング

我が国の健康保険制度は疾病保険といって、病気になった人だけが使えるものです。

なので、歯周病 という病気で診断してもらった人が健康保険でクリーニングを受けられるということになります。

そして、健康保険クリーニングを受けられるためには、その前段階にしっかりとレントゲンを撮ったり歯周ポケット検査という歯を支えている骨の減り具合を調べる検査をしてもらったりといろいろな検査をしてもらう必要があります。そのあと病気と診断後にやっと治療の一環として歯のクリーニングを保険でできる、ということになるのです。

「保険でクリーニングができますか?」と聞いてくる人は、まずは歯科医院に行くなり、無料の成人歯科健診を受けるなりして、自分が歯周病という病気であるという病名を診断してもらった後に自動的にできるようになる、ということなのです。

 

それでは、調べてもらった結果、歯周病ではないということが分かった場合、その人は健康保険でのクリーニングはしてもらえないのでしょうか?

法律的に厳密な答えは「できません」となります。

そういう人は次の項目で説明する予防クリーニングを受けることになります。これは自費(保険外)ということになります。

歯石がたくさんついている下顎舌側
歯石がたくさんついている下顎舌側
歯石除去後
歯石をとった後の歯肉の状態は赤く炎症を起こしているのがわかる

ところが、ご自分で症状が無い方でも、先に述べたように、歯周病に何らかの形でなっている方があまりにも日本では多い。なので、無事?歯周病という病名をつけてもらえて、何事もなかったように歯のクリーニングが自動的に健康保険でできるという流れが今までのほとんどの診療所で行われてきたのが現状だと言えます。

その結果、受けられる皆さんの方でも、過去そうした流れに乗って、受けて来られた悪しき?習慣が出来上がっていました。

悪しきという理由は地域によっては、1回で上下クリーニングを保険で算定可能なところとそうでないところが実はあります。あまり症状のない健常者に近い歯周病の方にとっては、できれば1回できれいにしてもらえる方がありがたいと思うために、医療機関側も1回ですべて終わらせようとしているところも多かったのです。

厚労省の見解もそのあたりに関しては微妙な判断で、レセプト算定の技官も現状は確実に白黒していない部分の一つのようでした。

そのために、建前上は、健康保険の治療クリーニングは検査をしっかりとして患者さんに病態をしっかりと説明をしたあと、毎日のケアの方法などを指導して、それから何回かに分けて上下の歯をクリーニングしましょう、といった流れを推奨してきました。

実際に健康保険の歯周病の方の治療はこの方法で全く問題はないのですが、限りなく健常者に近い歯周病の患者さんにとっては、忙しい。なので、できれば一気に全部の汚れをその日のうちにきれいにしてもらいたいと思うのは当然かもしれませんよね。

 

クリーニングを1回で上下算定できる地域の場合、例えば3か月とか4か月おきにきまって定期的な初診おこしをして、それとセットでクリーニングを健康保険を使って1回で全額算定を繰り返しているところが多くなってきました。

その結果、また少し時間が経ったらひさしぶりに口の中でも健康保険でクリーニングしてもらおうか、と気軽に電話をかけて来られる勘彌さんもいたのだと思います。このように、その方の気分で適当な間隔で歯のクリーニングがされていたのが過去の健康保険制度を使ってのクリーニング制度だったと言えます。

 

保険なので患者さんにとっても窓口一部負担金だけで安く済み、医院にとっても定期的な収入源ということの理由で過去からの悪しき習慣として実行していた診療所も多かったようです。

 

実際、歯周病は先に述べたように、定期的に適切な管理を継続的にしていかないと、やがてステージが歳を追うごとに悪い方へ進んでいってしまうということがわかっています。

そこで、健康保険制度でも本人の気分で治療クリーニングに勝手に来る、来ないを決めるのではなく、一定間隔ごとに必ず来院してクリーニングしてもらえるような点数付けをして管理した方がいい、ということになったのです。

過去にはなかった予防へ踏み込んだ新制度が健康保険に誕生してきました。

それが、軽傷の歯周病の方はP重防という歯周病重症化予防と呼ばれる健康保険の算定項目のことで、令和2年の4月から開始されています。この人たちは継続的に健康保険の治療クリーニングを3か月毎に受けることになります。

 

歯槽骨が4mm以上減ってしまっている重症の方の場合にはSPTと呼ばれる歯周病安定期治療という健康保険の算定項目を使ってお越しいただき治療クリーニングを受けられるという仕組みができあがっております。

 

 

3.2.歯のクリーニングの間隔や回数はどうなっているか

健康保険の治療クリーニングは治療がとにかく先行します。治療終了後に、次回来てもらうのはいつになるのかは、その時点での病状を見きわめた、診療所側の判断となります。

大きく分けると、3つに分かれます。

歯周ポケットが4㎜m以上ある方はSPT(歯周病安定期治療)というコースで、1~3か月の間に1回治療クリーニングをしてもらいに来院できます。

歯周ポケットは3㎜以下だが、軽症の歯周病だった方は、そこで一旦終了として自費の予防クリーニングにレベルアップしてもらうか、そのまま健康保険の治療クリーニングをP重防(歯周病重症化予防)という算定項目を使って3か月おきに受けてもらいます。

ここで注意が必要なのは、健康保険の場合、クリーニングの間隔の決定権は患者さん側にはないということです。治療の一環としてのものです。なので、医療機関側が決めた流れに従って来院していただくことになります。

 

4.歯の予防クリーニングについて

基本的には予防クリーニングは、歯の治療目的ではなく、すべての歯をいい状態に維持していくために必要な処置全部のことを指します。

 

よって、一般的には健常者の方向けのレベル感の高いクリーニングとなりますが、自費ですのでどんな方が受けられても構いません。

またその間隔は自由です。なので、基本受けたくなったら予約していつでも受けることができます。

自費クリーニングの場合、施術にかけられる時間がしっかりと取れる。なので、エアフロー(ジェット)と呼ばれる歯面清掃機なども使えて、ステインや着色、ヤニなども確実に綺麗にとれ、歯面研磨は2種類のペーストを使い分けてつるつるに仕上げてくれます。

相場の値段は都内の場合ですと、60分くらいかけて行い、大体8千円~2万円くらいということになります。

ガソリンスタンドの横についている自動洗車場が例えば保険のクリーニングだとすれば、自費の予防クリーニングは車のコーティングをした後丁寧に半日かけて磨けきあげてくれる専門店のクリーニングとにているかもしれません。終了後の舌感がつるつるな。なので、レベル感を知る上でも一度受けられてみるのもいいのかなと思います。

 

5.歯のクリーニングを受ける前に知らないといけない診療施設の裏事情

歯のクリーニングについて、いろいろとご理解いただけたでしょうか?

ここで最後に、クリーニングをしてもらえる歯科医院を選ぶ際に是非知っておいていただきたいポイントを2つほどご紹介します。

 

5.1.そもそも役割分担ができている施設を選ぶ

歯のクリーニングは、歯科医師と歯科衛生士以外はできません。

基本的には先生は治療、クリーニングは歯科衛生士さんというスタイルが本来のそれぞれの業務と言えます。

しかし、看護師さんと同様、歯科衛生士さんにもやるべき本来の仕事はあっても、それ以外の雑事で動かなくてはいけないことが歯科の診療所にはたくさんあります。

そうなってくると、本来の業務以外に例えば歯の型どりや治療のアシスタントや電話の応対や材料の出し入れやセメントなどの練和やと、基本的に歯科衛生士さんとして本来やるべきこととは違うことが多くなってしまう診療所も出てくると思います。

そうなると、歯科衛生士さんがクリーニングに特化してやれることのできる業務ではなくなり、片手間な仕事になってしまう歯科衛生士さんも出てくるでしょう。

よって、なるべく歯科衛生士さんが本来の業務だけに専念できる体制を作り上げている診療所を選ばれる方が、皆さんの口の中のクリーニングをより上手に手際よくやってくれる可能性が高いのです。

治されたところをいかに長期的に維持していくことができるかといったことまで視点を置いている予防主体の診療所が良いとされているのはそのためなのです。

したがって皆さんが行かれる診療所に何人くらいの歯科衛生士さんが在籍しているかということは、クリーニングについてどれだけ力を入れている診療所かそうでないかの判断基準の確実な一つとなります。Webページでのスタッフ紹介欄などで歯科衛生士さんがどれくらい在籍しているのかはすぐにわかります。

5.2.レベル感の高い予防クリーニングまでできる歯科衛生士さんがいる診療所を探す

治療のためのクリーニングでは、基本治療のために行う歯石除去がメインとなります。それ以外の歯面研磨やジェットと呼ばれる歯面清掃道具に習熟していて、特化して練習を重ねてきた予防クリーニングの衛生士さんは、かなりの技術レベルということになります。

そのために、健常者にも対応できるレベル感の高い歯科衛生士さんを養成するためにはそれなりの施設側への努力が要求されるというものです。

あなたがもし健常者に近い口腔内の状態で、レベル感のお高い予防クリーニングを心地よく受けることができるとしたら、その方が絶対にいいと思うし、長期的に続けたいと思うでしょう。

口腔ケアクリーニングは一度うけたらそれで終わりといった治療とは違います。

前回の状態も踏まえて適切なアドバイスをしてくれる歯科衛生士さんがいて、さらに必要に応じて必要な治療のアドバイスやレベル感の高いクリーニングの紹介などもしてくれる線引きがしっかりとしている施設を選ぶことが結局はあなた自身の為ということになります。