歯並びをよくしていく歯列矯正治療は、昔に比べてその数は当院でもとても増えてきました。

その中で、特に最近アメリカでその地位を高めつつある矯正治療法に、アライナー矯正があります。

アライナー矯正とは?従来のワイヤーとの違い

図1 インビザライン矯正装置
インビザライン矯正装置 上下顎

従来から歯並びをよくするための矯正治療は、歯の外側ないしは裏側にブラケットという装置を歯に張り付けてそれにワイヤーを結紮したものを使って歯を少しずつ動かして歯並びを整えていくものでした。

従来型ワイヤー矯正の問題

食事中も寝ている時も四六時中歯にそうした装置をつけていなくてはなりませんでした。
通常のこうしたブラケット矯正装置は、歯の外側に出っ張っているために頬粘膜などにこすれやすいし、食事中も食べ物がはさまりやすく非常に違和感が大きいのが最大の欠点といえます。

そもそも審美的にもよくしたいと思っているのにも関わらず、この矯正装置自体はどう考えても審美的ではないですよね。

こういった欠点を克服しようと、開発されたのがアライナー矯正です。

アライナー矯正の特徴

透明な樹脂で作られてたアライナーと呼ばれる取り外し式の装置をはめるだけで、歯を動かそうとする矯正治療のことです。

最新のコンピューター3D技術のおかげで、最初の悪い歯並びの状態を型どりしたのちに、コンピューターソフト上で少しずつ歯を思った位置へ動かしていき、それに合わせてたくさんの透明なアライナーを作ります。

通常こうした透明アライナーを1週間から2週間に一度の間隔でご自分で乗り換えていきます。

最大の特徴は、そもそも歯にワイヤーや、ブラケットといった装置がない点です。

ワイヤーもなく外すのも簡単、そして目立たない

ただし、効率的に歯を動かすために一部の歯の表面に、アタッチメントといって歯と同じ色のレジンの突起物をつける場合もありますが、とても小さいので基本的には全く目立ちませんし違和感もありません。

また食事の時にアライナーは自分ですぐに外せます。なので、そのときだけはずして、気兼ねせずに通常通り、何でも食事ができます。

食事が終わったら、口をゆすいでまた口の中にはめるだけでいいのです。

代表選手がインビザライン®

透明なアライナー矯正装置は現在いろいろなメーカーが世界中から登場してきましたが、中でもトップブランドの地位を築いているのはアメリカ発のインビザライン®です。
インビザラインの最大の優位性は、そもそもこのアライナー矯正の生みの親の会社であり、また現在世界中で最も多く使われていることから、症例数が450万人にもなっている実績があるという点です。

日々進化しているインビザライン

また、製品開発の技術を日々進化させていて歯牙移動のための装置の仕掛けについて数々の特許を持っています。

そもそも2008年頃から日本でも本格的に臨床が始まったインビザラインですが、その後2013年には素材に改良が加えられ持続的に弾力を失わない新素材になり、有効性の高い矯正装置のひとつとして、このころから次第に国内での症例が増えていきました。

2015年にはアタッチメントの開発でさらに精度が向上し、2017年にはついに子供の骨格的なアプローチも可能となる新システムがその形態に付与されるようになりました。

インビザラインがマッチするパターン

さて、インビザライン矯正の得意とする不正咬合治療はどのようなパターンなのでしょうか。

人の顔の骨格形態は上あごと下あごで構成されています。

上顎に対して、下顎が前よりに位置している場合にはクラスⅢとよび、ちょうどよい場合はクラスⅠと呼び、逆に下顎が後ろに行き過ぎている場合にはクラスⅡと呼んで大まかに分類しています。

簡単な言いかたをすれば、受け口傾向か、出っ歯傾向かということになります。

例えば、元プロレスラーのアントニオ猪木さんやオリンピックフィギアスケート金メダリストの荒川静香さんなどはクラスⅢの骨格ということになり、芸能人のさんまさんなどはクラスⅡの骨格ということになります。

クラスⅠであっても、歯並びがごちゃごちゃで乱杭歯の方は数多くいます。なので、骨格形態がクラスⅠだからといって歯並びがいいとは限りません。

そもそもアメリカでは骨格形態がクラスⅠより、クラスⅡの不正咬合の方が非常に多いという事実があります。

出っ歯傾向の骨格形態に効果的

実は、アライナー矯正全般に言えることですが、治療する際に非常に効果的と考えられるのは、このクラスⅡと、クラスⅠの骨格形態の人たちの治療なのです。

※クラスⅢの骨格形態の人には、はっきり言って、ブラケット矯正、しかもMEAWによる治療法のほうが安全で確実と言えます。詳しくはお問合せ下さい。

クラスⅠ、クラスⅡの顔面骨格であることが術前診断からわかれば、あえて、複雑で違和感の多い従来型のブラケット矯正をやる理由はほとんどないと言っていいでしょう。

アライナー矯正のデメリット

アライナー矯正の唯一の欠点をあげるなら、歯につけていない限り歯が動いていってくれない。なので、寝ている時も含めて、食事以外の一日通常22時間が装着推奨時間となります。
ついつい装置を口に入れるのをさぼってしまうと、予定通りに歯が動いて行ってくれなくなります。

最近では複雑な症例の場合、最初はまずブラケット矯正をしてから、ひどい不正咬合をある程度治しておいてから、終盤になった時にブラケットとワイヤーを外して仕上げにアライナーをつけていく、といった方法も取り入れられています。

10代の子供にも非常に有効

また、10代の子供たちにとっても、インビザライン矯正は非常に有効です。10代の場合にはアライナーの交換は通常1週間ごととなります。

なぜ10代の子供たちにとってインビザライン矯正が有効かというと、この時期の子供は下顎位といって上下のあごの位置関係がまだ成長発育期にあり、上下的にも前後的にも適応能力が非常に高いからです。

ブラケット治療をしていると、学校でからかわれたりする心配があり、装置が外れて緊急で来院するといった手間ができることもあります。

また、部活や進学で忙しい時期でもある。なので、なるべく来院間隔は少ないほうが嬉しいものです。

通常のブラケット矯正の場合は来院間隔は基本1カ月に1回ですが、インビザライン矯正の場合には、2,3か月に1回の割合でOKです。

大人の歯が生えそろう永久歯列期または混合歯列後期における下顎劣成長を伴うクラスⅡ不正咬合の成長過程にある患者さんなどにはまさにインビザライン矯正装置はうってつけの装置と言えるでしょう。

「インビザライン®」および「Invisalign®」は、Align Technology, Inc.の米国およびその他各国の登録商標です。

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