1.多くなってきた歯科のセカンドオピニオン希望者
毎日いろいろな方がご相談でお越しになります。
歯の治療目的でお越しになる方以外に、今別の病院で治療しているのだけれど、この治療について、どう思われますか?とか、痛いのが取れないのでそこへは行きたくないので何とかしてほしい…など今の治療に対して疑問を持たれてお越しになる患者さんが最近とても多くなってきたということです。
現在はネット社会ですでにいろいろと調べられて、それなりの持論をお持ちになってお越しになる方います。但し、よくよくお話を伺うと、単純な思い込みだったり、単なる治療側の説明不足だったりということも結構あります。
2.よく頂くご質問トップ4とは
今回は、よく皆様からいただく歯科関連のご質問トップ4をご紹介いたしましょう。
- 歯周病の治療っていつになったら終わるんですか?
- 虫歯治療をした後も歯がしみるのが治らないのですが、本当に治っているんですか?
- 噛むと痛い歯があり前医で何でもないと言われたが心配なので調べてほしい
- 矯正するのに抜歯が必要と言われましたがどうなんでしょうか?
1~4まで、本当によくいただくご質問です。中にはメモ帳まで持参してメモされていかれる方や、ボイスレコーダーで録音される方。こちらもうかつなことは申し上げられないと思っています。
圧倒的に感じているのは説明不足と理解不足。このような症状が出ている理由はこうこうだからです。慌てずにもう少し様子を見てください・・・まで伝えられていればお越しにならなかったかもしれない例も多いということです。
1から順に簡単に解説していきますが、今回はその1番目について解説していきます。
3.歯周病の治療っていつになったら終わるんですか?
歯周病は重症化しないと症状が出にくく自覚されにくい
歯周病に関しては現在症状がなくても、かかっている方が多いというのがほとんどです。
しかも若い方でも結構多くの方がかかっています。
また今現在かかっていない人でも、歳をとり病気での免疫力低下等ですぐに発症します。
今はやっていないかもしれませんが、昔私が歯科大学生の際に、次のような実習がありました。1週間歯を磨かない状態で1週間後の自分の歯肉にたまったプラークを各自顕微鏡で見る、という実習です。
その時は本当に気持ち悪いと言っている人がいました。1週間もすると、歯周ポケットにはプラークが堆積して、そこは歯周病菌繁殖の場で細菌叢が劇的に変化していきます。スピロヘータという、うねうねと動き回る細菌も多くなっているのを顕微鏡で見て驚きました。その時は本当に気持ち悪いなと感じたのを今でも鮮明に覚えています。
ですので、本当のことを言うと、毎日の生活習慣でしっかりと口腔ケアを意識して予防していくことが大切です。もしできなければ、かつては健常者でも歯周病はすぐに発症してしまうということなんです。
一度治った歯周病患者≠健常者
良く誤解されやすいのは、一度中等度の歯周病になった人が治療されて症状が治まった場合です。
この人たちは歯周病が治ったのか?というと、確かにその時点では治って症状はないのですが、そういった方には必ず、たくさんある歯のどこかに歯周ポケットという骨の減ってしまっている部分が存在している、という隠れた事実があります。
正確には治ったというより、症状が安定してみえるだけの状態だということです。
従って、こういう方がもし病気などで免疫力が低下したりすると、たちまち歯茎が腫れてきたりするかもしれない・・・という危険性があるということ。
そのためにも、歯科衛生士さんによる定期的なメンテナンスクリーニングをしてもらって状態が変化しないようにしてもらうほうがいいよね、ということなんです。
でも症状が安定してしまうと、治ったと思いたくなるのが人情ですよね。
痛くもなんともないのに歯科診療所に行くのもなんだよな・・・お金かかるし、と思われるのでしょう。
健康保険制度ががわかりにくくしている
日本の歯科医療保険は疾病保険です。病気の人を治すのに健康保険は使えます。当時予防ということには保険が使えなかったために、こういった一度歯周病になってしまった方たちには保険を使って予防での定期的なクリーニングというものは点数付けされていませんでした。
ですので、昔は症状が安定したら積極的にフォローしていこうという診療所が少なかったというのが本当の事情でしょう。
保険制度変更で治療後の再発防止のための予防への点数付けが
そこに対して国は北欧の予防先進国の制度を見習うことにしたわけです。健康保険のそれまでの制度を少し変えたのです。
一度中等度以上の歯周病にかかってしまった方の場合、歯周病が治って症状が安定した後でも、継続的に健康保険で再診扱いで、3か月おきにクリーニングして再発しないようにして差し上げましょうという保険制度が組み込まれるようになったということなんです。
※詳しくは当院のYoutube動画【歯のクリーニングとは?よく誤解されやすいポイントをまとめました】で解説していますのでもしよろしければそちらをご覧ください。
ですから、かつて歯周病の治療をうけられて、ご自身が健常者でない方の場合では、3か月ごとのメンテナンスクリーニングが受けられるという健康保険制度下においては、永遠に治療は終わらないということになります。
本当の健常者は健康保険でのクリーニングは受けられない
但し、全くの健常者の方の場合には、最初から自費でのメンテナンスクリーニングとなるわけです。健常者の方でも意識レベルの高い方は美容院に行くのと同じようにご自分の歯の状態はきれいにしておきたいと思う方も当然いらっしゃいます。自費でのレベル感の高いクリーニングはそういった方向けにありました。
ですので、保険でのクリーニングで慣れている方からは、自費のクリーニングは高いですよね・・・というご質問が当然きそうですよね。確かに健康保険の窓口での1割から3割の一部負担金額のようにはいきません。大体1万円~2万円が相場ではないでしょうか。
自費のクリーニングのレベル感と保険のクリーニングのレベル感
その代わり自費でのクリーニングでは健康保険のクリーニングのように毎回検査してレントゲン撮られたり写真撮られたりといった余分な時間は使いません。
その分たっぷりとクリーニングだけに特化して時間をかけられ、特殊な機械や除菌効果の高い水を使うなどの付加価値の高い方法で効率よくすべての歯を徹底的につるつるに磨き上げてバイオフィルムを取り去ります。
この方法によれば、茶渋などの歯についたステインと呼ばれる汚れも含めてバイオフィルムをすべての歯に対して取り除いてくれます。
たとえが適切でないかもしれませんが、ご自分で洗う洗車とプロが高速洗浄マシーンを使ってやってくれる手洗い洗車プラスコーティングの違いのような感じかもしれません。
かつて歯周病だった方が病状安定したので健康保険でのメンテナンスクリーニングを3か月おきに受けつつ、かつそれとは別に自費のレベル感の高いクリーニングも受けるという方もいらっしゃいます。
最初のご質問に戻りますが、歯周病の治療は予防治療という見方をするのであれば、生きている限り、口腔内は細菌との闘いである以上、治療が終わることはないということになります。
西国分寺レガデンタルクリニック院長・歯科医師。歯の治療は、一般的な内科治療などと少し違いがあります。それは「同じ箇所の治療でも、やり方がたくさんある」ということ。例えば、1つの虫歯を治すだけでも「治療方法」「使う材料」「制作方法」がたくさんあります。選択を誤ると、思わぬ苦労や想像していなかった悩みを抱えてしまうことも、少なくありません。
当院では、みなさまに安心と満足の生活を得て頂くことを目標に、皆様の立場に立った治療を心がけています。お気軽にお越し下さい。
2 Comments
以前ホワイトニングや治療で通っていましたが、長野県佐久市に引っ越して通院することができなくなりました。
現在フロスを通して歯が欠けてしまい通院したいですが中々通うことができません。
どこかご紹介頂くことは可能でしょうか。
宜しくお願い致します。
村上様 ご連絡ありがとうございます。かぶせ物の歯が取れてしまったとのこと、おそらく基本的にはどこの歯科医院でも問題なくご対応いただける範囲の治療で済むと思いますので、なるべく早めに近くの歯科医院に行かれてみてはいかがでしょうか。神経がない歯の場合には痛くない場合もありますが象牙質が露出した状態ですので、あまり長い間ほっておくのは得策ではありません。神経がある歯の場合でも同様です。なるべく早めにお近くの診療所へご連絡して行かれることをお勧めいたします。お大事にどうぞ。