平成23年8月に歯科口腔保健法が国会で成立していますが御存知でしょうか。

この法律ができた背景には「口腔の健康状態がご自身の様々な健康状態と大きく関連している」というエビデンスが、多くの研究とデータによってわかってきたことがあります。

(厚労省 わが国の医療についての基本資料 64p 歯科医療と全身の健康との関係)

健康寿命を延ばすためには、口腔ケアが重要です

これからの高齢化社会においてはただ長寿であるだけではなく、健康寿命(ひとりで元気で自立できている期間)が少しでも長くできるようにとの課題を解決できるヒントが実は簡単に安上がりにできる口腔ケアにあるのです。

私どもの歯科診療所には基本的にはどこか悪くなってしまった方(患者さん)が来ますが、原因は不備な口腔清掃状態とかみ合わせの不備の2つに絞られます。

この2つをほっておくといずれ必ずどこかにしわ寄せがきてむし歯や歯周病が進んでいきます。症状が発現した時はたいていの場合すでに手遅れの事が多いのです。年をとってから気を付け始めるのではすでにまったく遅いのです。

子どものうちの習慣づけが大事

口腔清掃状態が子供のうちから徹底できている習慣が身についていることは、その方にとっての人生において、ものすごい医療費削減につながることを意味しています。子供のうちから歯並びをよくしておくことも同様です。

人の習慣というものは子供の頃に身についたことであればそう単純に壊れることはありません。これが大人になってからどんなに変えようとしてもなかなか難しいものなのです。

それは我々医療機関において、歯周病になってしまった人に対して、どれほど磨き方を熱心に教えたつもりでそのときはよくても、すぐにさぼりはじめてしまって、また再発してしまう…そういった事例を多く経験させられたところからもいえることなのです。

ですからとにかく子供のころから未病の段階でいかに口腔ケアが重要かを知っていただく必要があります。

良く噛んで食べ、咬む力を維持し定期口腔ケアを全世代で受けるようにすることが歯科医療の課題であるとした国立がんセンター名誉総長である垣添忠生先生が平成26年1月19日の読売新聞 [地球を読む]歯科医療の課題…定期の口腔ケア 全世代でに書かれた考え方は、それがすべてと言っても過言ではありません。

ぜひかかりつけ歯科医を早いうちから持っていただき、そこの院長先生や歯科衛生士に何でも相談することができる体制をご自分、そしてご家族で作り上げておいてください。そういった単純な行動を実際におこせるのは、他ならぬあなた自身でしかありません。