歯科治療は同じ症状でも様々な選択肢があります

他の仕事も同じではあると思いますが、歯科医師の仕事はシビアな選択を絶えず迫られる機会の多い職業です。

つい先日、虫歯治療ではじめてこられた60代の男の患者さんから

「先生にすべてお任せします、保険の範囲で先生の考える最善の方法でどうか治してください」

という、オファーをいただきました。

しかし虫歯治療も、基本教科書的には治し方は確立されてはいますが、治療者の考え方や治療における裁量といったことまで考えますと、かなり多くの選択肢があります。

教科書通りに治すことが常に正しいのだとすれば、答えは本当に簡単です。教科書的にはこうと決まっていますので。しかし、実際患者様の状況などにより、もっとこうした方が良いのでは、こっちの方が良いのでは…ということが多いのです。

患者様のお気持ちも分かります。未知の領域ですので専門家に判断をゆだねたいですよね。

みなさまも真剣に考えて頂くことが必要です

まず、皆さんも、ただ口を開けて、治してもらえればいいんだとは決しておもわないで、ご自分の長期的に安定した口腔内の状態をどうしたいのかということまで考えて、治療に参加していただくことをお勧めします。

そうしないと、なかなか最適な治療方針は決まりません。終わった後に「こんなはずではなかった」という結果にも繋がりかねません。

とはいっても、何から考えて行けば、何を知って行けばと言う方には当院では

  1. 当日は現状の把握と概要のご説明
  2. 当院での歯科治療の説明が書いてあります小冊子をお持ちかえりいただく
  3. 次回までにお読みいただいたうえで治療方針をご相談
  4. 治療が次回から開始

されることがよくあります。これは、歯科医師が勝手に判断して良い結果にならないようにするためと、皆様にご納得頂いた上で、真剣に治療を一緒に行っていきたいからです。

私の基本的な考え方

私の最近の判断基準としては、今までの経験上から自分ならこうしてほしいと考えられる方法をまず最初にご提示するようにしています。

要するに、自分が同じ立場だったらどういった治療を選択しているほしいだろうか…といった基準です。勿論その選択が必ずしも正しいかどうかはわかりませんが、少なくとも一つの基準にはなっていると思います。

そのバックボーンには過去の自分の治療させていただいた多くの患者さんの治療、そして結果それがどうなってきたかといったいろいろな経験上のレシピがあるからです。

です。なので、当然その方の年齢や口腔内状況、性格、骨格形態、男女差、生活環境、経済状態などいろいろな因子を勘案したうえでのご提案となります。その辺のご説明は医療面談と言って治療前にどうしても必要となるのはご理解いただけると思います。

真摯に考えている方には、やはりこちらも自然と頭を振り絞って最善の物を提案することに繋がります。

何でも良いと言われると、私もきまじめな物でどうしても悩んでしまいます。

ぜひ、その様な形でご相談頂けましたら、幸いでございます。