毎日の生活でついた傷やヒビから着色色素などが入り込んでいく

歯の表面はエナメル質という固い組織でできていますが、毎日の生活で上下の歯は激しくぶつかり、時には自分の体重以上のひどい食いしばりや歯ぎしりの力に夜中さらされつづけたりします。

そのため、経年変化で少しずつ傷が表面についたり、マイクロクラックという微小なひびがあちこちに生じます。そこから唾液中のタンパクや食品からの着色色素などが入り込んでいきます。

口腔内環境が悪くなると、より歯は色素沈着しやすくなる

また一方でエナメル質は本来酸に弱く、pHが酸性に傾くと歯の表面は「脱灰」をはじめて、溶けていきます。

歯肉際の部分の白い帯
図1 歯の際の部分にできた白い帯(初期う蝕)

特に汚れが停滞しやすい歯の根元付近の歯頚部には図1のようにプラークが沈着しやすく、そのまま放置されていることで、表面のエナメル質が脱灰を初めて、粗造な状態となってきます。

初期の脱灰ではエナメル質の表面は、右側の歯のように白っぽくなっているだけなのですが、そこが粗造なために色素沈着などがより起こりやすい場所としてさらに慢性化していきます。

図1の左側の歯はすでに虫歯が進んでしまって茶色く実質欠損となって虫歯になってきていました。

図2 歯の際の着色した歯
図3 歯と歯の間の着色(下顎前歯)

図2、図3はいずれもその歯頚部(歯の際の部分)がステインで汚れている状態です。この状態ではまだ虫歯とは言いませんが、審美的には不潔感があり、見苦しい状態です。

着色もひどくなると完全に黒っぽく見えて、虫歯になったのかと勘違いするほどにまでなります。

図4 虫歯と間違えられるくらいのステイン(下顎前歯舌側)

汚れの上はさらに汚れがつきやすくなっている

これらの着色(ステイン)は基本的に疾病ではないのですが、見た目が悪い上に基本的に不健康に見えますし、清潔感に乏しい感じでほっておくとさらにこの上に汚れが付き始めます。

対策:バイオフィルムを除去し、汚れがつかないように磨く

これらを徹底的にプロの手で落としてしまおうというのが自費のクリーニングということになります。

当院の場合以下の様な流れです。

  1. 塩のパウダーを表面に吹き付けるジェットの力で歯の表面の細かい部分までの汚れをまずふき飛ばします
  2. 歯石やプラークを超音波スケーラーで丁寧に取り除く
  3. 歯と歯の間にデンタルフロスを一本ずつ通して歯の間のバイオフィルムをこそぎ落とす
  4. 最後にはハイドロキシアパタイトという歯の結晶と同じ構成成分でできた特殊なペーストを使って歯の表面をつるつるに磨きながら細かく傷ついた歯の表面を修復するようにミネラル分を補給

細菌の被膜であるバイオフィルムは、これらの作業により完全に破壊され、微細な傷やヒビは修復されていきます。

このクリーニングの工程を数か月ごとに繰り返し行い続けることで安定してきれいな口腔内環境を保つことができます。

ご自身でのブラッシングではどうしても限界があります。なので、定期的にメンテナンスしに来て頂くことを、多くの歯科医が進めているのはこういった理由もございます。

ぜひ一度お試し下さい。