歯の充填物「アマルガム」とは?
1800年代後半から1900年代に盛んに使われていた歯の充填物アマルガム、かつては銀歯の代名詞ともいわれた歯科材料でした。
私の毎日の臨床のなかで、このアマルガムがまだ30代後半くらいの方たちのお口の中にかなり残っています。
アマルガム充填物の組成は水銀50%、銀35%、スズ9%、銅6%、それに少量の亜鉛です。通常、水銀とこれらの合金を機械で練和して柔らかい合金状態のうちに虫歯で削られた場所に圧接するように詰めていき、一旦硬化後、研磨して仕上げます。
今は米国では材料から撤廃、日本でも使われていません
基本的に合金状態では無害とされていたのですが、どう考えても水銀が体にいいとは思えませんよね。
2002年に米国ではアマルガムの中の水銀成分のせいで神経毒性を根拠に自閉症になったという訴訟がおきています。
当時の報告ではアマルガム充填者の血中には通常の6倍もの水銀が検出されたというから驚きです。その後米国では当然アマルガムは歯科材料からは撤廃となって現在では日本での使用も当然行われていません。
当院では、見つけたらお知らせして除去をお勧めしています
それにもかかわらず、毎日拝見する患者さんの口の中に体に毒性を与え続けている材料が依然として入ったままになっているのを見つけた場合には、やはりご本人にはお伝えするようにしています。
その場合は当然別の歯科材料、コンポジットレジンという白い樹脂をその場で詰め治します。
あるいは、詰められている部分が大きい場合には、別の金属(健康保険ですと通常金銀パラジウムという合金)を鋳込んで作ったインレーやクラウンというかぶせ物をセメントでつけて治します。
アマルガムも、当時安全とつかわれていたものが、実は全然よくないものであるので現在は使われていないものです。
現状絶対よくないということがわかっている以上はたとえ痛くなくても、私は何とかすべきではないかなと考えます。
皆さんも口の中に、黒くなりかけた銀歯や、くすんだ銀色をした詰め物が入っているのであれば、きっとそれは昔のアマルガムかもしれません。なるべく早めに口の中から取り去って新しいものとかえられることをおすすめします。
西国分寺レガデンタルクリニック院長・歯科医師。歯の治療は、一般的な内科治療などと少し違いがあります。それは「同じ箇所の治療でも、やり方がたくさんある」ということ。例えば、1つの虫歯を治すだけでも「治療方法」「使う材料」「制作方法」がたくさんあります。選択を誤ると、思わぬ苦労や想像していなかった悩みを抱えてしまうことも、少なくありません。
当院では、みなさまに安心と満足の生活を得て頂くことを目標に、皆様の立場に立った治療を心がけています。お気軽にお越し下さい。