「なんだかしみる」「ひっかかる」など自分の歯に違和感があると虫歯かな?と思い、鏡でどうなっているのかを見たりしませんか?
でも、見た目的に何か分かりやすいものがないと、気のせいかな、とも思い、またしばらくそのままになったりしがちです。
しかし、目には見えなくても実際には虫歯の初期段階などになっていることがあります。な。なので、おかしいな?と思ったらメンテナンスも兼ねて、ご来院頂くことをお勧めしたいです。
見る場所によっては全然見えない「歯と歯の間」
今日お越しになった患者さんの中に「飛び跳ねたりすると右側のどの歯かわからないけど上の歯がキーンとした痛みがする」という20代の方がいました。
隣接面カリエスは見る場所によって全然見えないことも多い
その方は別の診療所で診てもらって、「何ともなっていない」と言われたのだけど、やはり気になるのでもう一度別のところで診てもらおうということで当院に来られました。
確かに見た目なんともないのですが、一応レントゲンを撮って調べてみましょう、とお話しして、パノラマレントゲンを撮りました。
右上第1小臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯の隣接面にできた黒い透過像
結果はやはり撮ってみてよかったということになります。画像には明らかに虫歯となっている所見が歯と歯のコンタクトの部分に何か所もあったからです。
通常、歯は虫歯になると上の方から穴が開いて黒くなってくる…といったイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、実は、歯と歯の接している部分からの虫歯は結構多い虫歯の一つです。
上顎5番小臼歯にできた隣接面カリエス
横からよく見ると上からでは見えなかった黒くなっている点状の部分が少し見える
中央部分は削られてまだ白濁して残っているカリエス部分とまだ下の方に黒ずんでいる部分が残っているのが表面のエナメル質から黒く透過しているので観察される
結局3本を削りインレーを入れて修復
麻酔をした後、結局前から4番目の第一小臼歯、5番目の第二小臼歯、さらに6番目の第一大臼歯と、なんと3本とも隣接面がすべて虫歯であったために削られていきました。
まだ神経にまで達していなかった。なので、歯のエナメル質と象牙質の一部までを削られた後かたどりとして、その後インレーを呼ばれる小さな銀歯がそこに入れられて修復終了となりました。
銀歯との接触面から大きな虫歯を発見
このように、目に見えない虫歯では、歯と歯のコンタクト(隣接面)にある場合が圧倒的に多いのです。この写真もその一例です。
銀歯の隣はなんでもないようにみえる小臼歯ですが、強い光をあてて高倍率(8倍)のルーペで観察すると、上からでも光の透過の仕方の違いで発見できます。
実際に治すには、上から削っていくのですが、削ったところに実際に次の写真に見られるように、大きな虫歯が出てきました。
この患者さんは自覚症状がまだなかったと言われていますが、通常これをほっておくと当然そのうちしみてきて自覚症状が出た頃には神経の治療もしなくてはならなくなってしまいます。
自分の目や自覚症状だけにたよることなく、プロの人の目を通した健診がたまに必要なのはこういった兆候が発見できる場合が多いからです。
今回のケースのように、虫歯は分かりづらい物もあります。おかしいな?と思ったら、あるいは思わなくても定期的に歯石取りも兼ねてご来院をお勧めします。
また、臨床上本当に虫歯かどうかを判定するのにレントゲンは大きな助けになりますが、もっと初期段階ではそれが認められにくい場合も多数あるのは事実です。
痛いときだけ来るのではなく、定期的に。歯科医師としてはそれをお勧めします。
西国分寺レガデンタルクリニック院長・歯科医師。歯の治療は、一般的な内科治療などと少し違いがあります。それは「同じ箇所の治療でも、やり方がたくさんある」ということ。例えば、1つの虫歯を治すだけでも「治療方法」「使う材料」「制作方法」がたくさんあります。選択を誤ると、思わぬ苦労や想像していなかった悩みを抱えてしまうことも、少なくありません。
当院では、みなさまに安心と満足の生活を得て頂くことを目標に、皆様の立場に立った治療を心がけています。お気軽にお越し下さい。