磨いてもなくならない口臭の正体 それは菌バランスだった
1.なぜあなたの口臭は歯磨きだけでは消えないのか
「毎日しっかり歯磨きして定期的に歯医者にも
行っているのに、やはり口臭がたまに気になる・・・」
「歯茎が下がってきて、なかなか安定しない気がする・・・」
そんなお悩みがあり、ご相談受けることが結構あります。
実は、その根本原因は、歯磨きだけでは解決できない
「菌バランス」にあるんです。
もっとわかりやすく言うと、あなたの体が「歯周病体質」になってしまっているとしたら・・・どうでしょうか。
きょうは、口腔ケアをしているのに、思うように口臭がなくならない人や、歯周病が安定しにくい人、それが実は口と腸の菌バランスに原因があり、ある対処方法ですべて解決できるというお話をします。
最後までご覧いただければ、なぜ毎日の歯磨きだけではあなたの口臭が完全に消えなかったのか、歯周病が安定しないのか、その根本原因が明確にわかります。
そして口臭スプレーやガムに頼ることなく一1日中爽やかな息を自分の力で維持できる、本質的な方法を手に入れることができます。
今回参考にさせていただいた論文は、日本で古くから腸内細菌研究の第1人者、東京大学名誉教授の光岡知足(ともたり)先生の出された「腸内フローラの研究と機能性食品」をはじめとする数本の論文、さらに、新潟大学歯学部の山崎和久教授の出された「歯周病と全身疾患の関連」という論文、また、南部隆之先生の書かれた「口腔細菌パターンを健康型に変える試み」、その他国内外の多くの先生方の論文を参考にさせていただきました。詳しくは概要欄に貼っておきますので興味のある方はご覧になってみてください。
口臭や歯周病は、歯の周りの慢性的な古いプラークの毒性が高まり発症する病気と言われていますよね。もちろん、丁寧な歯磨きは基本中の基本です。
しかし、いくら口の中をきれいにしても、すぐに元に戻ってしまう・・・。それは口内環境の長期的な安定を左右する、決定的な2つのファクターを見逃しているからです。
それが唾液の量と質なんです。
唾液は体で作られますが、単なる水分ではありません。
口の中の菌を洗い流し、抗菌し、お口の中の環境をベストな状態に保ってくれる、いわば、「天然のマウスウォッシュ」です。
そして、腸と口に住む多くの種類の細菌たちで構成された細菌叢のバランスを循環してくれているパトロール役でもあるんです。
研究によれば、唾液量が30%減少すると、口腔内の細菌数は最大300%も増加し、口臭の強さも有意に上昇する、という事がわかっています。
そこでまず、あなたの唾液の「量」を劇的に増やす、誰でもどこでも簡単にできる「唾液腺マッサージ」をご紹介します。

唾液腺は3か所あります。耳下腺、顎下腺、舌下腺の3か所です。
耳の下、顎のえらの内側、そして顎の真ん中の3点を優しくマッサージするだけです。
これら3か所から出る唾液の役割や性状は違うのでひとつずつをご紹介します。
皆さんすっぱいものを想像したり、食べたりした時、じわっーとこの辺いたくなってきたりしませんか?

そう、そのあたりにあるのが耳下腺で、そこから出る唾液が耳下腺唾液です。この唾液は瞬発力のある唾液なんです。
酸っぱい、おいしい、などの刺激が脳に伝わると、大量に口の中を洗い流す緊急シャワーの様に出るイメージで、性状はさらさらの唾液です。
ただ、正常時にはこの耳下腺唾液は20%くらいしか出ていません。もし酸っぱいものおいしいものなどを口に入れたり連想したりして脳に刺激が伝わると、いっきに50%くらい出てくるのがこの耳下腺からの唾液なんです。
だから耳下腺部分のマッサージは酸っぱいものやおいしいものを連想しながらその部分を軽く円を描くようにマッサージすれば出てきます。この唾液の成分は重炭酸イオンを含み高い緩衝能があり、すっぱいものなどを食べた時のPHリカバリーの役もします。また歯の再石灰化に必要なCaイオンも含まれているんですね。

次に顎下腺からでる顎下腺唾液です。顎下腺は、両方の親指を顎のえらの内側のくぼみのあるやわらかいところにあてて、のどの方へ5回くらいゆっくり押しあげればじわーッと出てきます。ここから刺激される顎下腺唾液は量的には一番多く出る唾液です。
この顎下腺唾液は、ほぼ1日中出っ放しのベースウォーターのようなもので、あなたが普段安静にしていても、60%くらいはこの顎下腺唾液がでています。
適度なアミラーゼ、適度なムチン(MUC5B)、ラクトフェリン・リゾチーム・IgAという成分が豊富な唾液で、24時間体制で寝ているときも出続けていて、口腔内粘膜を抗菌しながら循環かつ保護をしてくれています。
起床時に口がネバつくとか、舌苔が付きやすい人は、この顎下腺唾液が減っている可能性が高い人です。更年期や糖尿病の人も顎下腺唾液は減少気味なので、口臭が悪化しやすい環境になりがちなので要注意です。
次に舌下腺唾液ですが、舌下腺を刺激するには、顎の真ん中の内側に親指を当てて後ろに向かって骨をなぞるように滑らせるストレッチのような動かし方をします。
この唾液にも顎下腺とは別の成分のムチンMUC7が多く含まれています。このムチンはネバネバの唾液で歯肉や舌を守る保護クリームの役割を果たしてくれます。
以上、3種類の唾液が出てきたら、舌を使って口全体にいきわたらせるようにまわすおさるさん運動をして、グルグルと唾液を口腔内に循環させればそれでOKです。
あなたの唾液の質は大丈夫?
さて、唾液の「量」を確保したら、次にもっと重要な唾液の「質」に目を向けましょう。
人間の腸内には約100兆個もの細菌が存在し、これらは健康と疾患に密接に関連していることはすでに多くの研究で明らかになっています。
それら口腔内細菌叢、腸内細菌叢には健康状態を守る有益な善玉菌も、悪さする悪玉菌もいます。
つまり、口の中をきれいにしているだけではダメなんです。体の中から、特に腸からも環境を整えなければ、質の悪い唾液が作られ続け、口臭や歯周病のリスクは永遠になくならないのです。
質の良い唾液を作り出せているか否か、それは唾液を取り巻く体質を決める口腔内細菌叢と腸内細菌叢の善玉菌と悪玉菌のバランスと密接に関係しています。
診療所で行う歯周病治療は、治療である以上、なるべく早く症状をとることが要求されます。
そのため歯周病の人の治療では原因となっている汚れを早く取り去り、歯周病悪玉菌をなるべく減らすために除菌治療や抗生物質を使ったりします。
しかし、体が歯周病体質で質の悪い唾液だらけの環境のままでは、いくら治療で一時的にその場所が治ったようにみえても、長期的には安定しません。
私たちの口腔内を安定して維持させるためには、口腔内細菌叢、腸内細菌叢にいる有害細菌が増えそうになった時、それを元に戻そうとしてくれる体の持つ復元力、いうなればレジリエンス力の強さが必要とされます。
この時復元力となって働いてくれるのが有益な善玉細菌たちです。
彼らがもともとあなたの口腔内や、腸内にたくさん住んでいてくれれば、質の良い唾液を通して口腔内のパトロール役、門番訳として常に24時間働いてくれる状態になりますよね。
口腔内を健康に保つための唾液の質を高める方法をお伝えします
1つ目は善玉菌を増やして唾液を整えることのできる食事を多くとることです。
あなたの毎日の食生活はどうでしょうか。
善玉菌を多く含むのは、発酵食品である味噌や漬物、ヨーグルト、納豆・食物繊維などです。これらを日常の食事で積極的にとりましょう。
一汁一菜に代表とされる和食の食べ物にほぼ近いですよね。一日に1回は和食必要かもしれませんね。医食同源という言葉が示すように普段からの食生活習慣が長期的には一番安上がりな健康法だからです。
そしてもう一つ、現代人にとって非常に強力な味方となるのが「機能性食品」、いわゆるサプリメントです。
しかし、「サプリなんて種類が多すぎて、
どれを選べばいいかわからない!」と思いませんか?
ご安心ください。サプリ選びで失敗しないための、
たった一つの知識があれば、すべて解決します。
そもそもサプリメントという言葉は健康補助食品の俗称で、抽象的過ぎてよくわかりませんよね。
実は行政の立場からの制度的な分類は3つで、
学術的な分類は4つです。
行政3分類=品質・表示の“信号機”
学術4分類=作用機序の“地図”
のようにご理解いただけるといいと思います。
行政3分類は
特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品の3つです。
トクホは国の個別審査があるため取得に時間と費用がかかる分、信頼性が高い。
機能性表示食品は、トクホほどの審査は不要ですが、論文や研究などの科学的な根拠が必要で、消費者庁への届出が必須。
栄養機能食品は、既定の栄養素と摂取量を満たせば、表示可能で企業の負担が少ない。
これら3つの分類は、我々によっては、トクホは一定の信頼性のあかしくらいに覚えておけばいいと思います。
あなたが知っておくと便利なのは機能性食品の学術的な分類のほうです。
こちらの分類から理解した方が、実際にあなたが製品を選ぶ際に、ご自分の体には何を選べばよいのかがわかりやすいからです。
現在、出回っている機能性食品やサプリメントは学術的には大きく4つに分類されています。4つの機能性食品は
プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクス、ポストバイオティクスに分類されています。実は、この4分類、歴史的に登場してきた考え方なんです。
なので、その順に特徴を頭に入れておけば、あなたがもし何か機能性食品、サプリメントを試してみたいなと思われた際に、その製品がまずどのカテゴリーの物か理解できると、同じカテゴリーのものをやたら重複してとらなくてすむようになります。
そこでこれから、「サプリの4きょうだい」という物語で、世界一わかりやすく機能性食品について解説していきましょう。
機能性食品、サプリメントの発祥は歴史的にはブルガリア地方のブルガリアヨーグルトの発見が最初と言われています。今でも売られているあのブルガリアヨーグルトの事です。
時はさかのぼりますが、
1⃣ 1907 年 ―― プロバイオティクスのまず長男が誕生します
ロシアの学者メチニコフ先生は、ブルガリアの山村で “長生きのヒミツ” を発見しました。
村人が毎日食べていた ブルガリアヨーグルト の中には、悪い菌を追い払う “生きたヒーロー菌” いわゆる善玉菌がいっぱいという事に気づきました。
「よし、この菌を飲めば体を内側から守れるだろう!」
こうしてはじめて、生きた善玉菌の事をプロバイオティクスと名付けて、それが世界に広がりました。その後、乳酸菌だけでなく、いろいろな種類のヒーロー菌、善玉菌も発見されました。
プロバイオティクスの定義は、「生きて腸まで届き、体に良い影響を与える微生物」のことです。
具体的な製品の一例では
日本では、多分一番有名な機能性食品かもしれません。
乳酸菌シロタ株のヤクルトです。
また、飲み物ではありませんが、
新ビオフェルミンSも、生きた乳酸菌が入った“プロバイオティクス錠剤です。
ビフィズス菌(B. bifidum)と2種類の乳酸菌フェーカリス菌、アシドフィルス菌の合計3種類の生菌が入っています。
主に腸で働く整腸作用が主目的であり、口腔内への直接的作用はないものの、腸内環境を整えることで間接的に免疫や口臭の改善に関与するといわれています。
乳酸菌とはそもそも糖類を発酵して
乳酸を多量に生成する細菌の総称なんですね。
だから乳酸菌と言っても、実はいろいろあって、
実際には300種類から400種類はあるようです。
最近話題になっているのが、プレミアモード㈱から出ているオーラティクス ベリースマイルという製品です。
ヒト由来の生きた口腔乳酸菌2種「ORA CMU」「ORA CMS1」が1粒あたり計80億個も配合されています。
ちなみに、口腔内向けサプリメントをいろいろと試している、私のZ世代の息子に試してもらったところ、口臭を含め日中の口腔内環境がすこぶる良いとの反応で、味もおいしくて好評なようです。
他の乳酸菌では、わかもと製薬からはWB21乳酸菌のアバンビーズ® オーラルタブレットなどもあります。
また、人の母乳から発見されたロイテリ菌は
虫歯菌・歯周病菌の抑制、歯肉炎・歯周炎の緩和、口臭の改善などで歯科分野では以前から注目が集まっているプロバイオティクスの一つです。
ロイテリ菌の具体的な製品としては、
ロイテリ菌 DSM 17938株 と ATCC PTA 5289株が入っている
プロデンティスロゼンジタブレット(バイオガイア社、スウェーデン)があります。
オハヨー乳業からは「ロイテリ乳酸菌ヨーグルト」もでています。
ここで具体的にとりあげた製品以外にも物凄く多くのサプリメントがありますから、みんなさんはどれか一定期間使ってみて、効果が認められないようなら、今度は別の菌種の製品を試されてみるというスタンスで気軽に始められるのがいいでしょう。腸内細菌叢は皆さん一人一人違うので、ある人にとてもよく効果が出たとしてもある人にはそうでない可能性も多々あるからです。
口の中で舐めて溶かす生菌タブレットの摂り方に関しての注意点ですが、歯磨きなどで殺菌作用のある歯磨剤を使ったすぐ後に摂取すると、せっかくの善玉菌の働きが減弱されてしまいます。歯磨のすぐあとに口に入れるのではなく、少し時間がたってから含むようにする方が効果が出やすいです。
さて、次にプロバイオティクスに続いて
2⃣ 1990 年代 ―― プレバイオティクスの次男登場
プロバイオティクスのヒーロー菌は、実はエサがないと力を出せません。
そこで科学者たちは 「菌が大好きな食物繊維を一緒に食べればいいじゃないか!」 とひらめき、
プレバイオティクスを開発したんです。
ヒーロー菌のいわばエサ係です。
プレバイオティクスは口では消化されず、腸まで届いてヒーロー菌を応援する働きをします。
東大の光岡先生の論文によれば
結腸内の有用菌の増殖を促進したり有害菌の増殖を抑制し、その結果、腸内環境改善によって宿主の健康に有利に作用する難消化性成分と定義されています。
イヌリンやオリゴ糖が代表的なプレバイオティクスです。
オリゴ糖は普通にスーパーでも売っています。
イヌリンのほうはあまり聞いたことない方も多いと思います。
イヌリンの成分の多い食品は、その多い順にチコリの根・キクイモ(菊芋)・ゴボウ・ニンニク・タマネギ・アスパラガス の順となっているようです。
皆さんがサプリメント代わりにプレバイオティクスを簡単に試したいなら、粉末で作られているチコリコーヒーっていうのが、ビオセボンなどの健康食品売り場で売っています。
これをお湯で溶かして、オリゴ糖を少し加えて飲めば、イヌリンがダブルでとることができてしかも結構おいしくて、大量のプレバイオティクスがサプリメントでなく食品からとれます。
ちなみに、チコリコーヒーは、コーヒーのような風味がするだけで、カフェインは入っていません。なので夜も安心して飲めてお勧めです。また、便秘気味の人などには特におすすめかもしれません。ここまででヒーロー菌のプロバイオティクス、と、ヒーロー菌のエサ係のプレバイオティクスがでてきましたよね。
3⃣ 2000 年代 ―― シンバイオティクスの三男コンビ誕生
だれかがまた言ったんですね。
「ヒーロー菌とエサをひとつのカプセル に入れれば、最強チームになるよ!」
こうして生まれたのが シンバイオティクスです。シンとは、“いっしょに” という意味
最初に登場したプロバイオティクスと2番目のプレバイオティクスの合わせ技です。
具体的なシンバイオティクス機能性食品の中で、
特に腸内細菌叢に働く製品では
乳酸菌シロタ株とガラクトオリゴ糖をあわせたヤクルト400W
ビフィズス菌 BY株とガラクトオリゴ糖をあわせたヤクルトミルミル
ビフィズス菌とイヌリンをあわせた江崎グリコのBifiXヨーグルトなどがあります。
一方、口腔細菌叢に働くシンバイオティクスのサプリメントは
サリバリウス菌K12株とM18株の2種類の善玉菌に加えて、プレバイオティクスであるイヌリンを合わせて一つのタブレット錠剤にしたゼンダマンプロというサプリメントが代表的です。
こちらは口臭の原因となる悪玉菌をK12株がまず抑制して、M18株が虫歯菌の増殖を抑制し歯垢(プラーク)の付着を防いでくれます。
ここで、口腔内細菌叢にはなぜ「生菌」が有利なのか?
それは、生きているサリバリウス菌は、舌や歯の表面に定着しやすく悪玉菌との競争において、悪玉菌が住み着く場所や栄養を奪い取り、悪玉菌がそもそも増えにくい環境を作ります。
その環境下で「バクテリオシン」と呼ばれる天然の抗菌ペプチド(タンパク質)を作り出します。ここが最大のポイントです。これは、特定の悪玉菌だけを狙い撃ちする、いわば「善玉菌の武器」のようなものです。その結果口臭、虫歯の原因となる悪玉菌を抑制してくれるわけです。抗菌物質を続けてとると、抗生物質の様に耐性菌を心配される人がいるかもしれませんが、日本歯科大学から2019年に出された論文(乳酸菌による歯周病菌PG菌に対する殺菌作用について)ではプロバイオティクスの効果は穏やかであるものの、安全で抗生物質の様に耐性菌などの問題が生じる可能性もないことから、疾病の予防目的で長期間摂食する場合に適している、との事で安心です。
お休み前に1錠ゆっくりと口の中で溶かして寝る、朝は出勤途中に1錠口の中で溶かすだけの簡単習慣です。
そうすれば、口腔内細菌叢が寝ている間に安定して、次の日は1日中口臭が無く爽やか。
超簡単でいいと思いませんか。
もしゼンダマンプロを1か月使ってみて口臭抑制・歯周病安定効果が出ないと思われたら、すでに紹介している別の種類のサプリメントを試してみるのもいいでしょう。
ちなみに、さっきプロバイオティクスのところで私の息子がオーラティクスベリースマイルと言うサプリメントを試したら、彼の細菌叢にはそれがあっているとお話ししましたが、私の体の細菌叢にはゼンダマンプロの方が合っている気がします。まあ、このようにサプリメントを試された効果は、人によって微妙に違うので、まずは一定期間試されてみて、続けるかどうか決めるというのがいいと思います。
ここで取り上げているサプリメントもあくまで具体的な製品でないと説明できないのでそれで説明しています。
いわゆる案件ではありません。ハブラシの選択と同じで、このサプリメントで正解というのはなく、その方にあっているのが正解と考えていただけるといいでしょう。
但し、一定期間とり続けないと、効果は持続しないものなので、基本的にサプリメントと言うのはサブスクタイプだという事だけは覚えておいてください。
また生菌はフリーズドライといった乾燥凍結で生菌状態を保持してタブレットになってはいますが、
あくまで生菌なので、保存期限が限られていることには注意が必要です。
4⃣ 2010 年代に入りますと **ポストバイオティクス(バイオジェニックス)**の四男が登場します。
最新ヒーローは「実は菌が死んでも“パワーのかけら”が残る」と気づいた研究から誕生しました
熱で殺した乳酸菌や、発酵でできたペプチドだけを取り出したのが
ポストバイオティクス(=“あとに残ったもの”)といいます。東大名誉教授の光岡先生は論文の中でバイオジェニックスという言い方でも提唱されているようです。
「ポストバイオティクス」は、より国際的に使われている用語で、「人に有益な効果をもたらす、不活化された微生物およびまたはその成分」と定義されています。
皆さんがよく知っているあの「カルピス」実は、ポストバイオティクスに分類されています。
国産の生乳から脂肪分を取り除いた脱脂乳に、独自の乳酸菌と酵母の集合体である「カルピス菌」を加えて発酵させて作られていますが、製品の品質を長期間保つため、製造の最終工程で加熱殺菌が行われます。この加熱殺菌によって、残念ながら「カルピス菌」は死滅しています。
そのため、生きた菌を含んでいない「カルピス」は、プロバイオティクスには当てはまらないのですね。
容器の表示にも「乳製品乳酸菌飲料(殺菌)」と書かれているのはこのためです。
死菌ではありますが、加熱殺菌によって死滅、不活化した「カルピス菌」の菌体そのものと、菌が作り出した代謝産物(ペプチドなど)の両方を含んでいて、これらが生菌と同様に体に良い影響を与えるということがわかっています。
ガセリ菌CP2305株の「PLUSカルピス 睡眠・腸活ケア」もあります。
他のメーカーでは、
キリンのプラズマ乳酸菌ドリンクiMUSE、も代表的なポストバイオティクス飲料です。
プラズマ乳酸菌は、「プラズマサイトイド樹状細胞」という、免疫細胞全体を束ねる「司令塔」の役割を持つ細胞を直接活性化することが、世界で初めて報告された乳酸菌です。
司令塔が活性化することで、その指令を受けた他の様々な免疫細胞たちが一斉に活性化され、体全体の防御システムが機能しやすくなります。この「免疫機能の維持をサポートする」働きが、iMUSEが機能性表示食品として認められている理由です。
L8020乳酸菌は広島大学で発見された乳酸菌です。
この細菌は 虫歯菌(ミュータンス菌)の増殖を抑制し、歯周病に関わる複数の悪玉菌の発育を抑制します。
製品としてはL8020ヨーグルトに含まれています。
このL8020乳酸菌は、製品に含まれる段階で加熱殺菌処理が施された死菌なので、やはりポストバイオティクスです。
L8020を主成分とするサプリメントでは
L8020乳酸菌ラクレッシュPROタブレット ㈱ヨシダ
アレルケア乳酸菌サプリメント カルピス
他にもまだ数えきれないくらい沢山あります
東京大学の薬学部が発見した「11-1乳酸菌」は、その免疫への働きを最大限に引き出すために、あえて殺菌処理を施したポストバイオティクスの代表的な例と言うことができます。
「11-1乳酸菌」に期待される主な働きは、免疫細胞の活性化です。この働きは、菌の「生命活動」によるものではなく、菌の「菌体成分(細胞壁など)」が、腸にある免疫器官を直接刺激することで発揮されると言われています。
そのため、生きたまま腸に届ける必要がなく、むしろ死菌の方が効率的に免疫系に働きかけると考えられています。
ちなみに 11の1は東大生協などで売っています。
一般的に、ポストバイオティクス製品の最大のメリットは、生菌ではないために品質が安定しており、保存期間が長い事、そして抗生物質を飲んでいるときでも影響を受けず、他の生菌プロバイオティクスと競合しないので併用も可能だという点です。
以上、4つの機能性食品いかがだったでしょうか。
まとめますと、機能性食品にはプロ、プレ、シン、ポストバイオティクスといった4種類があり、
1.生きたヒーロー菌であるプロバイオティクス
2.ヒーロー菌のエサとなるプレバイオティクス
3.生きたヒーロー菌とエサの最強セットシンバイオティクス
4.菌とパワーのかけらだけのポストバイオティクス
という事です。
サプリメントの選定ポイントですが、
ポイントは非常にシンプルです。
あなたの目的が、「お口に“直接”アプローチしたい」のか、それとも「“腸から”体質改善をしたい」のか、で選ぶべきものが変わります。
- 口臭や歯ぐきを今すぐ何とかしたいなら、お口の中で溶かすタイプの生菌(プロバイオティクス or シンバイオティクス)がおすすめです。
善玉菌が直接、悪玉菌の住処を奪い、口内フローラを改善してくれます。
- 体質から根本的に変えたい、免疫力を高めたいと考えるなら、腸まで届くプロバイオティクスや、免疫に働きかけるポストバイオティクスが有効です。
腸内環境が整うことで、質の良い唾液が作られるようになり、結果として口内環境も安定します。
つまり――
▶「お口の中に直接効かせたい」なら、生きた菌を口の中で働かせる製品を選ぶこと。
▶「腸内環境を整えて体の中から変えたい」なら、腸まで届く菌で免疫や代謝に働きかけるのがポイントです。
両方を合わせても問題ありません。
目的に応じて使い分けることで、より効果的に口臭やお口の健康にアプローチできますよ!
歯磨きはあくまでスタートライン。
本当の口腔ケアは口と腸の菌バランスを、体の中から整えることから始まります。
なるべく不足成分をまず食事などから補うようにして、次に目的に応じてサプリメントを一定期間試してみて、効果が期待できそうなら続けてみればよくそうでないと思われたら別の菌種の製品に変えてみる、そんな使い方がサプリメントをとる方には必要でしょう。

西国分寺レガデンタルクリニック院長・歯科医師。歯の治療は、一般的な内科治療などと少し違いがあります。それは「同じ箇所の治療でも、やり方がたくさんある」ということ。例えば、1つの虫歯を治すだけでも「治療方法」「使う材料」「制作方法」がたくさんあります。選択を誤ると、思わぬ苦労や想像していなかった悩みを抱えてしまうことも、少なくありません。
当院では、みなさまに安心と満足の生活を得て頂くことを目標に、皆様の立場に立った治療を心がけています。お気軽にお越し下さい。