きちんとしたブラッシングはとても難しい

歯医者で、歯科衛生士や歯科医からこんな一言を言われたことがあるのではないでしょうか。

「うまく磨けていませんね…」

皆さんそれなりに磨いているという自覚や事実があるにもかかわらず「うまく磨けていませんね」の一刀両断で、「じゃ、いったいどうすればいいんだよ」という気持ちになるのも当然です。

そこで今回は、歯磨きの上達法についてお伝えできればと思います。

また、歯磨きの方法についてはこちらの動画もぜひご覧下さい。

[動画]バイオフィルムを取るための“正しい”歯磨きの方法

具体的な歯磨き(ブラッシング)のポイント

そもそも歯磨きとは一体どこを磨けばよいのか、を考える必要があります。

(図1)歯頚部(歯と歯茎のキワ)に沿って白いプラークが帯状に付着している状態

(図1)の写真は奥歯の外側からみた写真で、歯頚部と呼ばれるところに注目していただきたいのですが、白っぽく帯状にプラークと呼ばれる細菌の塊がゴッソリとついているのが見えます。

この方も実は「歯磨きはしています」しかも「電動歯ブラシも使っています」という方でした。そもそも歯磨きではここの残ってしまっている部分こそとらなくてはいけないはずなのですが、それが実際は全くとれていなかったのです。奥歯の内側や、下の前歯の裏側などにはこの状態のように慢性化している方がとても多くみられます。


(図2)一番汚れの溜まりやすい歯頚部

歯頚部と呼ばれる歯と歯茎の境い目の部分が一番汚れの溜まりやすい部分で、実はここの全周部分をいかにきれいにしておけるかということこそプラークコントロールの神髄なのです。

「歯周病」と呼ばれる病気にならないためには、そもそも(図2)のように歯の周りに取り巻くプラーク(赤い点で描いてあります)をいかに毎日取り除いておけるかということにつきます。

これに対して、一般の方は歯磨きをする際に、歯ブラシが(図3)のような当て方になっている方がほとんどのようです。

(図3)歯ブラシの毛先が歯のみにあたっている状態。

歯ブラシの毛先が歯茎のキワにはあたっておらず歯のみにあたっているため、キワのプラークは依然として残ったままの状態です。

ならば理論的には(図4)のようにブラシを当てればプラークの取り残しは生まれないはずなのはご理解いただけるでしょうか。

(図4)理想的な当て方

分かりやすくするために、一番下の方の歯ブラシの毛を赤くしてありますが、その部分が歯ブラシの一番端っこの毛先だけが歯肉溝に入り込んでいる状態で、しかも歯肉にはあたっていない、歯茎のぎりぎりのところまでだけにきっちりとブラシの毛をあてられているか、がポイントとなります。

そしてこれができている方が上手な歯磨きができている方ということになります。

理想的な当て方は技術的に難しい、練習が必要

ただ(図4)の方法は技術的にとても難しいのです。なぜかというと、通常の歯ブラシの毛先はある程度硬いうえに、植毛の数が少ないために歯茎に少しでも当たってしまうと痛いためについついそこから少し放したところで歯ブラシをあててしまい、結果的にキワのプラークは残ったまま、という先にあげたような状態(図3)になります。

無理して歯茎に毛先かのっかった状態でゴシゴシとやられてしまいますと、今度は逆に歯茎が痛んで、擦過傷や歯肉退縮で知覚過敏を引き起こしてしまうという危険性もあるのです。(オーバーブラッシングと呼ばれています)

歯ブラシを変えてみませんか?

それではそんな歯茎のキワとかいった面倒なことなど考えなくてもいい、歯と歯茎両方に適当にあててただゴシゴシとするだけ(図5)でしっかりとキワも自動的に磨ける歯ブラシがあればそれが一番いいだろな、ということになりませんか。

(図5)歯と歯茎両方に適当にあてる歯磨き

この当て方で安全に出来る歯ブラシを考えてくれた会社がスイスにありました。クラプロックス(CURAPROX)という歯ブラシです。クラプロックスの歯ブラシは高密度植毛で極細であるファイバーで構成されているために、歯と歯茎の両方に毛先あたっても全く痛みがなく、しかも効率よくキワのプラークが自動的に絡めとられます。

恐ろしいほどの高密度設計

ヨーロッパの最新の考え方に基づき設計され、コンパクトヘッドにソフトな植毛をされており、通常の歯ブラシの毛の数は多くても800本くらいなのに対して、なんとこの歯ブラシは7倍もの5460本もの高密度設計となっています。(7600本というタイプまでもあります)

かなりしなやかで極細の特殊な毛先が高密度に植毛されているために手で触るとビロードのような感触で、歯茎にあたっても全然痛くなく、しかもマッサージ効果が適度に得られる硬さになっています。

これにより歯と歯茎のマッサージが両方可能となり、歯磨きの際の歯ブラシの当て方を難しく考えないで、どなたでも上手にプラークコントロールができるものとなりました。

歯茎磨きを体現できる歯ブラシ

プラークコントロールの神髄は歯磨きというより、歯茎磨きという言い方のほうがあっており、その歯茎磨きを体現できる歯ブラシと言える、まさに道具の勝利ということになるかなと思います。

Amazonなどでも手に入るようです。当院でも販売しています。

歯磨きとはその方の技術力に合わせてどこを狙ってきれいにすればよいのかということを頭で理解しながら実践していただくことであり、そのための歯ブラシというのはそれを達成するために自分に合ったものを選ばれるのが一番大切だということになります。

ですので電動歯ブラシだから安心とか、毎日磨いているから安心ということではなく、キワのプラークがどれだけ本当に取れているのか、毛先をキワに当てることが出来ているのかということだけを考えて各自工夫して磨いていただくことこそ大切です。

まずは一度、クラプロックスを使ってみて下さい。そしてじっくりと際を意識してみて下さい。動画もぜひご覧下さい。